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当機は偶然により、運命を変更致しました
第1章 到着地の状況は最悪

お隣は、スーツを着てる男の人だ。
休日だけど、仕事で乗ってるのかな?
タブレットを見てたのに肘が当たって来ないから、へーって思ったんだよね。
スマホとかタブレット見てる男の人って、たいてい肘がこっちに入って来るんだよ。

もしかして、うるさいですよとか言われるのかなあ。
さっきCAさんに話した時、この人の前を横切るみたいになってたし。
通路側は空いてるから、迷惑掛けたのがこの人一人で、まだマシだった……
……って自分に言い聞かせてたら、そうじゃ無かった。
 
「これ、どうぞ」

「え?」
 
なぜか目の前に、鼻セレブ。
なんで?と思ったら、目から何かがぽろっと落ちた。

「うわ!やだ、ごめんなさい」

「いいえー。起きたらこれじゃあ、泣きたくもなるよね?
良かったら、使って」

そう言ってにこっと笑うと、目が無くなりそうになった。
っていうか、見られてたの?
当たり前か、隣だもんね。
CAさんとのやり取りは、丸聞こえだっただろう。

「……ありがとうございます。お借りします」

「お借りしなくていいよ?」

「え?」

「あげる、それ」

え?!くれるの、鼻セレブ!!
高いから自分で買った事無いよ、鼻セレブ。
良い人だなあ。目は細いけど。

「ありがとうございます……!」

お言葉に甘えて、鼻セレブは頂いておこう……。
アザラシちゃんの顔の真ん中から開けて、一枚出して。
勿体ないから端っこで涙を拭いてから、鼻をかんだ。
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