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当機は偶然により、運命を変更致しました
第1章 到着地の状況は最悪
「これ、下がってますよね?降りれるのかな」
「どうだろう……あ」
窓の外に、陸地が見えてきた。
シーガイアも海岸線も向こうの方の山も、
はっきり見えてる。
だけど。
「見て!すごい、真っ白……!!」
空港の上の辺りを中心に、真っ白。
しかも、綿雲みたいに薄い雲じゃない。
ショートケーキに絞りまくった生クリームみたい。
下なんか、全然見えない。
物凄く、厚い白。
「ちょっと、失礼」
お隣さんは私の前に乗り出して、窓の外を見た。
「……あー、ほんとだ。これじゃ、着陸は無理かなあ」
「無理でしょうか……」
お隣さんは席に戻って、うーんと腕を組んだ。
「降りられるかどうかって、確か、視界と、空港設備と、操縦者の力量で決まるんだよね。
宮崎は確か、視界不良の対策は甘かった気が……」
「……きゃ!」
急にエンジン音が響いて、シートにぐっと押し付けられた。
高度を下げてた飛行機が、急に上がったんだ。