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夜ごと疚しい夢を見る(「初めて女を~」ピックアップ御礼)
第1章 夜ごと疚しい夢を見る

   *   *   *


「はい?」

 寝台に座って奥様からお借りした本を読んでいたビスカスは、扉を叩く音に返事をしました。

「ビスカス……?」
「リュリュ?どうしたんですか?」

「寝れないの。ご本読んで?」

 ローゼルは嬉しげに部屋に入ると、絵本を持って部屋の主より先に寝台に陣取り、はしゃいだ声を上げました。

「早く早く!ビスカスは、ここ!」
「……畏まりました、お嬢様」

 ビスカスはローゼルの背中側に座り、あぐらを組むようにしてローゼルの体を支えました。

「リュリュはご本をめくる係で、ビスカスは読む係よ!」
「読むんですね。……えーと、」

『むかしむかし、あるところに、とても美しい娘がおりました』

「うふふふっ!!」
「どうかしやしたか?」
「あのね!『うつくしいむすめ』って、リュリュみたいな子のことね!」
「そうですよ。リュリュはとてもどころじゃなくて、とってもとってもとっても、美しい娘さんになりやすよ」
「ふふふふ!あとねえ!ビスカスがご本を読むと、背中がびりびりって、くすぐったくなるの!」
「くすぐってぇのは、イヤですか?」
「うーうん、すきよ!気持ちいいわ!」
「そうですか……そりゃ良かった。じゃあ、一枚めくって」

 ローゼルが本を一枚めくったので、ビスカスは続きを読みました。

『美しい娘は、ある時ひとりで森へ出掛けて行きました』
「一人で出かけるの、いけないことね?」
「そうですね。危ねぇですからね」
「ん……ビスカス?」
「何ですか?」
「手が……」

 ビスカスの手はいつの間にか、ローゼルのささやかな胸に触れておりました。

「リュリュが一人でどこかに行っちまわない様にしてるんですよ」
「ぁん……そう、なの……?」
「こうされるのは、イヤですか?」

 そう言われて胸を揉まれると、少し変な感じがしました。
 ですが、それは、決して嫌ではありません。

「うーうん……イヤじゃ、ないわ……」
「そうですか……そりゃ良かった。では、続きを」

 ローゼルが本を一枚めくったので、ビスカスは続きを読みました。
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