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第7章 久しぶりの・・・２

男は先ほどとは打って変わって、黙ってウイスキーを飲んでいる。香菜から見える男性の目は相変わらず真っ直ぐで、思わず見とれてしまう。男性がしゃべりかけてくれないので、香菜の意識は、先ほどから触れたままになっている足に集中していた。男性がしゃべってくれたら、気がそちらに集中して、触れている足なんか気にすることが無いのに、酔っているせいもあり、自ら離す事ができずに、足が絡み合うのを想像してしまう自分が少し恥ずかしかった。気を紛らわす為に少し周りを見てみる。いつの間にかほとんどの席が埋っている。呑んでいる人やグループが大騒ぎする事無く、パーソナルスペースを保ち、他人の会話が邪魔になる事が無い。目の前には無数に並ぶお酒。この店に入った時から目には入っていたが、改めて見るとその数に圧倒される。耳に入ってくるジャズのピアノとサックス音色が、ゆったりしたリズムに乗り、大人で官能的な店内の雰囲気を演出している。横には急に静かになって香菜を放置する意地悪な男。そしてその横で、触れた足を離せないで呑んでいる香菜。香菜は今置かれた状況を俯瞰的にみつつ、それでもなお、この店の後にこの男に抱かれる姿を想像してしまう酔ってしまった自分が解らなくなっていた。「香菜どうするこの後・・・」香菜は突然耳元で男性が囁いたのでびっくりしつつも、首元を伝っていく男性の吐息がくすぐったかった。そして男性の直球の誘いに戸惑った。「・・・のお酒」男性は意地悪な顔をして香菜を覗きこんだ。卑猥な想像をしてしまっていた香菜は、恥ずかしさを隠す為に表情を見えないように顔を隠して、おもいっきり肘で男性の肩を、何度も小突く。それを見越して男性も笑顔でごめんと言いつつ、香菜の攻撃を手で防ぐ。その一方で、触れ続けている足に気づいている男性の頭の中では、この後を言い出すタイミングを計っていた。男性は香菜が落ち着くのを待って「ちょっとごめん、トイレに行ってくる。」と笑顔で言い残しトイレに向かって行った。そして香菜の死角に入り、他人の邪魔じゃない所でスマホを取り出すと、今夜二人で泊まれるホテルを探す。ここから車で１５分位の所でホテルが見つかった。確か比較的新しいホテルで、内装をチェックしたが、清潔感があり安心して泊まれそうだ。早速そのホテルを予約して香菜の元に戻る。「ごめんね、お待たせ」