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扉の向こう
第12章 チャンス
僚太が何気に香菜の方を見ると、ほんのりと赤く染まった柔らかそうな首筋が目に入る。
そして、いつからだろうか、僚太に密着して座っている香菜の右手が僚太の太ももに置かれている。
酔っている香菜の手の温もりが、僚太のモノに伝わるかのように熱い。
「どうしたの?」
テレビを見ていた香菜が突然僚太のほうを向いた。
すこしトロンとした目が、間近でまっすぐ僚太の目を見つめる。
僚太は思わずそのままソファーに押し倒したい衝動に駆られるが、
(いやいや危ない、気をつけよう。)
「ねえ、こっち見てみてたでしょ。なーに?」
僚太に少し距離をあけて座り直した香菜が両手を僚太の太ももに乗せて顔を近づけてくる。
「いや、何でもないよ。酔っぱらってボーっとしちゃった。ちょっとトイレに行ってくる。」
そう言うと僚太はトイレに行ってしまった。
(ちょっと良い感じだったのにな)
香菜は僚太の背中を見つめていた。
(香菜はこの前の手紙でスキンシップも欲しいって書いていたけど、今日求めてきてる気がする。俺もその気が無いわけでは無いけど、久しぶりだし、前の事もあるし、いざとなったら何か抵抗があるんだよな。前はどうしてたっけ。戻ったらどうしたらいいかな。まあいいか、酔っぱらっちゃお。)
僚太がトイレから戻ってくる。座るとグラスに少しだけ残っているワインを飲み干す。
「ごめんね。いやー、やっぱりスパークリングはうまいね。」
と言うとボトルに手を伸ばす。
「私が注ぐよ。はいどうぞ。」
香菜が僚太のグラスにワインを注ぐ。
「私にもちょうだい。ちょっとで良いからね。」
笑顔でワインをねだる。
僚太が香菜にワインをグラス半分位で注ぎ終えると
「ありがとう。」
そう言うと少しグラスに口をつけてグラスを置く。
「ねえ僚ちゃん。」
「何?」
僚太はテレビを見ながら答える。
「ねえ、こっち向いてよ。」
僚太が振り向くと香菜はまっすぐ僚太を見つめる。
香菜は静かに目を閉じた。
「えっ・・・・。」
僚太は今までになく積極的な香菜に正直驚いた。
(さすがにこれはしないといけないよな。)
僚太はゆっくり顔を近づけると、軽く唇をあわせた。
「えーっ、もう一回。」
「わかったよ。」
再び僚太が顔を近づけると、軽く唇をあわせる。
僚太が顔を離そうとすると、香菜は両手を僚太の首筋にまわし離そうとしない。




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