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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第7章 婦人の悩みと殿方の困惑
「最近入った者は、ほとんど生けに……あちらでの任に就き終えてしまったの、だよ……」
ウバシが腕組みして眉を顰めると、ネリも同じ様に腕組みしながら頷きました。
「『生きの良い子はもう居ないの?』とかなんとか聞かれてポロッと漏らした奴が居たのか、『特例で入った毛色の変わった子が居るそうじゃない。今度はその子をお寄越しなさい』と仰られてな」
神妙そうに聞いているジャナは、ネリの下手くそな「御館様」の声色に、ウバシのこめかみがピクピクしているのに気付きました。が、勿論今は笑って良い雰囲気では有りません。
「いくら脅さ……馴染みの上客とは言え、口の軽い者が居たものだわn……なあ。厳重に注意して置かないと……」
「……ネリ先生?」
事ののあらましが飲み込めたジャナは、ぶつぶつ呟くウバシではなく、元々の話を持って来たらしいネリの方を向きました。
「何だ?」
「経緯は、理解しました。……先生は、私が西に赴いた方が宜しいとお考えなのですよね?」
「ジャナっ!?」
「有り体に言うと、そうだ」
「ネリっ!!」
「畏まりました、了解です。参ります。」
「ええっ?!」
「そうか、有り難い!!……では、早速日取りを」
「ちょっとぉっアンタ達っ!!!!」
弟子二人の間で自分をよそに淡々と進んで行く話に、ウバシは思わずブチ切れました。