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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第7章 婦人の悩みと殿方の困惑

「はい?……何か、問題ですか?師範さま。」

(んもーっ、このムスメったらっっ!ちゃんと分かって返事してんのかしらっ!?)

 何事も無かったかの様に首を傾げるジャナに、ウバシはやきもき致しました。

「御館様は、若い男限定で、ご指名だってっ!!」

「ええ、それが何か?私は、十分若いですが」

 ジャナは、ここへの入門が許される最年少で合格したのです。若さという点では文句の付けようが無いでしょう。

「だからっ!ジャナ、アンタおn 」
「だから私をご希望なのですよね?」

 ジャナはウバシの台詞を叩き切って引ったくりました。
 単ju……師匠に従順で疑う事を知らぬネリは、未だにジャナの本当の性別を知らないのです。ネリは知らないどころの話では無く、門人の中でジャナの性別を知っている者はウバシと普段ここには居ないビスカス位なものでした。
 さすが、情報統制や序列や規律に厳しい組織です。秘匿されるべき機密事項は粛々と秘められ続け……ているせいで、面倒でややこしすぎる事態が生じてしまっておりました。

「『若い』『男子』をご所望なのですから、私が行かない訳には参りません。お望みの条件に、私ほどぴったり当てはまる者は居ないのですから」

「でもっ」

 食い下がろうとするウバシの目を、ジャナはひたと見据えました。

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