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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第3章 少年の秘密
「……療術家ぁああああ?!」
驚きすぎたウバシは、目が飛び出て顎が外れそうになりました。
「療術家……つったら、治す人でしょ!」
「はい。」
「お師匠さんの治療処を、手伝ってるって事ね?」
「ええ。」
「その、療術家先生の卵が、なんで女人禁制を破ってまで、闘人館になんか入門しようだなんて思ったのよー?!」
「……先程の技を、憶えてらっしゃいますか?」
頭を抱えるウバシと対照的に、ジャナは淡々と言いました。
「え?さっきの技?」
「息が出来なくなる技です」
「あー!あれね!」
ウバシはころりと笑顔になりました。
「あれ、とっても上手だったわねえ!!感心しちゃった!他の入門者が一溜まりも無かった訳だわよ!!」
「……嫌味ですか。」
「え?褒めてるんだけどぉ?」
「師範さまには、効きませんでした」
ジャナは悔しそうに唇を噛みました。
「……それを褒められても、嫌味としか」
「やっだあ!アナタ、何様のつもりー?」
「っ」
「アナタが療術の専門家だとしたら、私ら闘いの専門家よ。あんなんで簡単に息止まっちまってたら、やってらんないっつーの」
「……あれが、入門の理由です」
「え?」
ジャナは、項垂れていた顔を上げました。また前髪が乱れましたが、今度はそれを直そうとはしませんでした。
灰色の目は夜明けの太陽に照らされた湖の様に、ぎらぎらと燃えております。