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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第3章 少年の秘密
「私は元々、あれを闘いの技として身に付けた訳では有りません。あれは窒息した者を蘇生させる為の技の、裏面です」
「窒息が、蘇生の裏面……」
「はい。他にも有ります。療術の応用で有りながら、攻撃の為に使える技が……それならば、攻撃の為の技を知れば、人を治し救う事も出来るかもしれません。私はここでそれを実戦から学んで、世の為人の為に、まとめたいのです」
ウバシの背を、雷に打たれた様な衝撃が走りました。
荒唐無稽とも思える事を告げたジャナの顔から、目が離せなくなりました。
(この子が、私の待ってた弟子なのかもしれない)
澄んだ輝きを放つ瞳を魅入られた様に見詰めながら、ウバシはそう思ったのです。
「……さっきの、八割位は、強がりよ」
「さっきの?」
「アナタの息を止める攻撃に耐えられたのは、経験と見栄と根性よ。前に似たものを受けて、無様に負けた事が有るの。あとは、入門者に頭が倒れちゃ示しが付かないからね。だけど」
ウバシはジャナに、ずい、と顔を近付けました。
「アナタは、どこをどうすればああなるか、分かってるって事よね?」
「はい」
「……ってことは、アナタ自身は、あの技にはかからない?」
「恐らくは。余程の手練れから受けたら、無理でしょうけど」
「もう一つ聞いていい?私、最後に、アナタの手を打って、転がしたじゃない?」
「はい。全てにおいて熟練した、素晴らしい技でした。分かっていても手練れから受けたら防げないというのは、ああいう事です」
「……ってことは、アナタ、あれを、誰でも出来る様に、説明できるのね」
「ええ。ただ、説明した事を実際に行えるかどうかは、聞いた方の修練によりますけど」
「……うーん……」
ウバシは腕を組んで、目を閉じました。