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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第3章 少年の秘密
「……アナタが療術の為にここで学べば、沢山の人が恩恵を受けられるって事だわね……?」
「ええ。そう在りたいと願っています」
「で、アナタのまとめた事を私が使えば、ここに属する門人達の技を、洗練させることが出来るって事ね……私だけじゃなく、自分が使える技なのにどうしてそうなるのか伝えられない奴が、ここにはごまんと居るんだもの」
「はい。もし置いて頂けるのでしたら、師範さまが不思議に思って私が分かる事が有ったら、何でもお伝え致します。それに、私のまとめる内容は、全て師範さまにお渡し致します」
「良いのぉ?そんな事言っちゃってー」
素直に頷くジャナを見て、ウバシは意地悪く笑いました。
「私、アナタに教えてもらった事を、悪用するかもしれないわよー?」
「師範さまは、そんなことしませんっ!……あっ」
自分の思わぬ語気の荒さに、ジャナは赤くなりました。
「お許し下さい。失礼な物言いを致しました。……薬の中には毒で出来ている物も有るって、ご存知ですか?」
「ええ」
「……師範さまは、手に入れられた物が毒でも、正しく扱える方です。手合わせさせて頂いて、そう思いました」
ジャナは椅子から立ち上がると、深々と頭を垂れました。
「私には、亡き師匠に受けた多大な恩が有ります。直接の恩返しは出来ませんでしたが、ここで学んで、故郷に戻って多くの人により良い療術を受けて貰うことを、恩返し代わりにしたいのです。お願い致します、何でもやります。私を、ここに置いて下さい」