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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第4章 天女とじゃじゃ馬
「まあ!」
「それか、女神様……?」
賞賛の言葉には、慣れているのでしょう。
奥方は照れたり謙遜したりすること無く、大輪の薔薇の花がほころぶ様に華やかに微笑んで、ジャナの賛辞を受け取りました。
「ありがとう、ジャナさん。でも、ごめんなさいね?私は、天女でも女神でも無くってよ。ただの女で、ビスカスの妻の、ローゼルよ。宜しくね」
「……ローゼルさま、っ?」
「あら!!」
ジャナは顔を上げ、うっとりと奥方を振り仰ぎました。前髪がさらりと流れて、紅潮した頬と、きらきらした瞳が垣間見えました。
そして、緊張のあまり口が回らなくなって来たのか、さ行の発音があやしくなって参りました。
「しゅてきなお名前っ……ローゼルしゃまに、ぴったりでしゅ……!」
「……まっ!!……可愛らしいことっ……!」
褒められても平然としていたというのに、もじもじしているジャナを見た奥方は、ぽっと頬を染めました。