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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第4章 天女とじゃじゃ馬

「んまー……仲良きことは、麗しいわねえ……」
「や、こりゃ……ちっと……」

 良い子良い子と髪を撫でられて満足そうなジャナを見ていたビスカスの口元が、ほんの少しヒクつきました。

「……もしもし、ジャナちゃん?」
「はい?」
「そろそろ俺の奥様から、離れちゃ頂けねーですか?」
「大人気ないわよ、ビスカス」

 ジャナは奥方にくっ付いたまま、ウバシに白い目を向けられたビスカスをきょとんと見ました。

「……びしゅかしゅしゃん?」
「へい?」

 ジャナは、じーっとビスカスを見詰めました。

「……びしゅかしゅしゃんは、ロゼねぇしゃまの、旦那しゃま……」

 何度かぶつぶつ呟いているうちに、ジャナの眉間には少しずつ皺が寄って行きました。

「……ロゼ姉様?」
「なあに?ジャナ」

「ロゼ姉様は天女さまなのに、どうして旦那様はお猿さんなのですか?」

 すっかり落ち着きを取り戻した発音で、ジャナは奥方に聞きました。
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