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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第4章 天女とじゃじゃ馬
「……療術の師匠が、時々申して居りました。『遊びで付き合う相手ならともかく、結婚する相手とは、夜の満足をきちんと確かめ見極めてから添うべきだ』と」
「……っ……!!」
「違うのですか、姉様?」
「違っ……ゎ……」
真っ赤になって口籠もった奥方を、ジャナは不思議そうにじーっと見詰めました。
そのジャナの肩を、誰かがとんとん、と叩きました。
「もしもし、ジャナちゃん?」
「はい?なんですか、お猿さん」
「う゛?!」
「ジャナ、さっき紹介したでしょ?そいつの名前は『猿』じゃなくて、『ビスカス』よ」
「はい、存じております。でも、先程師範さまがとても嬉しそうに猿猿お呼びだったものですから……猿の方が嬉しいのかな?と」
ウバシは一瞬鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔になりましたが、その後ことさら眉間に皺を寄せ、ずいっとジャナに詰め寄りました。
「良いこと?ビスカスが、本名なの。私が何と呼んでいようが、ビスカスさんとお呼びなさい。アンタにとっちゃ兄弟子よ?それなりに対応なさい」
「……理解しました、師範さま。『猿』ではなく、『ビスカス』が正式という事ですね。……何か御用ですか、ビスカスさん。」
「俺と、手合わせしやしょ。」
「えっ!?」
「ええっ!!」
それを聞いて奥方は青くなり、ジャナはぴょん!と飛び跳ねました。