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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第4章 天女とじゃじゃ馬
「ビスカス!……そんな、女の子相手に、手合わせだなんて……」
「ローゼル」
ビスカスは口籠もりながら反対する奥方に、ぴしりと言いました。
「今俺が話してるジャナは、女の子じゃあ有りやせん。こいつぁ俺の妹弟子……や、弟弟子なんでさあ。……な?」
「はいっ!!手合わせして頂けるなんて、嬉しいです!!ぜひ、お願いしたいです!!」
「ほらね?……これ持って、そっちの方に避けてて下せえ。長くぁ掛かりやせんからね」
ビスカスは心配そうな奥方に目配せすると、上着を脱いで渡しました。
「俺とジャナなら、そこでも良いか……良いですか、兄さん?」
「ええ」
ビスカスの問いに、ウバシが頷きました。
そこは、ウバシが日々の鍛錬を行うために、何も置かないまま空けてある空間でした。組木の床が所々傷付いたり僅かに凹んでいるのは、長年の踏み込みの跡です。
広々とはしておりませんが、軽く暴れる程度なら十分です。
「ジャナ。部屋ん中だから、ちっとだけな」
「はいっ!」
「なんか壊したら負け、壁にぶつかったら負け、床に抑え込まれたら負け、な。……んじゃ、どっからでもお好きにどうぞ」
「ビスカスさん、ご無礼ご容赦!!」
ジャナは弾んだ声でぺこりと礼をすると、ビスカスに向かって生き生きと襲い掛かりました。