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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第5章 閑話 兄弟子夫婦のその夜の話
「大丈夫ですよ。兄さんは……師範様ぁ、ちゃんと考えてますって」
ビスカスはローゼルの手を取ってとんとんと叩き、俯いた顔を見上げてにかっと笑いました。
「ジャナぁ、兄さんのお手付きって事になってんですよ。そうしときゃあ、他の奴等ぁ手出し出来やせんからねー。部屋も続きの間に住まわせて、風呂やなんかもこっそり優遇してやすし、体調とかにも注意してやってるみてーですし……そんだけしてりゃあ、心配ねーでしょ?」
「そんなの……」
ビスカスは不安げなローゼルに苦笑すると、立ち上がって椅子ごと妻を抱き締めました。
「でーじょーぶですって。見ての通り、兄さんぁ女にゃ勃たねーお人ですし」
「たたっ……」
「もしかしてジャナが本当に男に見えちまったら、却って危ねーかもしれやせんけど……あそこまで子ども子どもした奴にゃあ、興味無ぇでしょ。平気ですよ」
「……ん……」
髪を梳きながら話す夫にもたれて、心地良い声を聞いていたローゼルの胸に、ふと、何かが引っかかりました。