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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第5章 閑話 兄弟子夫婦のその夜の話
「……ビスカス?」
「なんですかい、リュリュ?」
耳元に口づけながら軽く擽ってやっていたビスカスは、妻の髪の感触にうっとりしながら答えました。
「……ビスカス、あなた……師範様のお好みに、やけに詳しいのね……?」
「へ?」
尖った声に驚いて顔を覗き込むと、ローゼルの眉間にはしっかり皺が寄っておりました。
「……女を抱いた事は、無いって言ってたけど……殿方同士は、もしかして……」
「ちょっ!?ちょっと、リュリュ?!何言い出すんですかいっ!?」
「……ジャナが、ちょっとだけ言ってたの……男しか居ない場所で女一人なのは、そんなに心配していないって……みんな、闘いの後に興奮して……致したくなるからっ、殿方同士で欲を満たす方法を知っている方が多いので平気です、って……」
「なっ」
ビスカスは、目を剥きました。
キャッキャうふふと何の話をしていたのかと思えば、とんでもない話もしていた様です。
「……『ここだけの話ですが、男同士は女を抱くより具合が良いという噂もよく聞きますし』っても、言ってたしっ……」
(ジャナ……そんな噂、いつどこで聞いたっつーんだよ……!!でもって、リュリュになんつー事吹き込んでくれやがったんだこん畜生っ……!!!!)
ビスカスは、妹弟子のとんでもない振る舞いに、目眩がして参りました。
『……ほーら!私の苦労が、分かったかしらっ?』
(兄さん……じゃじゃ馬を置いとく事にしたんなら、しっかり躾けて下せぇよ……!!)
ビスカスは脳裏に浮かんだドヤ顔のウバシに、思わず頭痛を感じました。