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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する

「ジャナは、毒には詳しいの?」
「いいえ」

 小声で聞いたウバシに、ジャナは首を振りました。

「ある程度理解出来ているのは、基本的な物だけです。中毒者が出やすい食物、噛まれることの多い動物や虫、量や体質や飲み合わせによっては毒になる薬、あとはよく使われる代表的な毒物くらいでしょうか……それらの見分け方と、症状の特徴と、対処法くらいは」
「食物も、結構あるの?」
「はい。死に至る物はそれほど多くありませんが、体調が悪くなる程度の物は、意外と多いです」
「へーえ……」

 ウバシは、ジャナの話に感心しました。
 闘人館で学ぶのは、暗殺や殺人に使う為の、いかにも毒らしい毒が中心です。そういう場合は少量で即効性が有る事が重要で、徐々に具合が悪くなる様なものに関しては、あまり知識が有りません。
 じわじわと弱らせる様な毒など、ウバシ自身は好みません。存在を知っても使うことは有り得ませんが、逆に自分達が使われる可能性は、無くは無いかもしれません。

(専門じゃ無いって、言ってるけど……その位だけでも知ってたら、十分役に立つわよねえ……)

 これもゆくゆくはジャナに講義して貰おう、とウバシが考えていると、ジャナはテーブルから果物のシロップ漬けを水で割った飲み物を手に取りました。
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