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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する
「……例えば、同じ果物でも、完熟した果肉は無害で美味であるけれど、未熟だと毒だったり、種が毒だったり、けれど同時に薬にもなったり、複雑な働きを持つ物が有ります……毒は、それだけで、非常に広く奥深い分野なのです。生物毒や鉱物毒ですと、地域によって手に入れやすさが違ったりも致しますし」
「なるほどねえ……」
「土地柄という意味では、あの花なども……有名な毒花なのですが、私はこちらに来て初めて実物を見ました」
ジャナが指差した窓の外に見える木に、濃桃色の美しい花が揺れています。
「まあ!あれ、毒なのっ?!」
「ええ。美しい花ですが、葉っぱ一枚でも食すると、直ちに激しい痙」
「……なんって話してんですかい、あんた達……」
「あら、花婿!」
ひそひそ声で熱心に話し込んでいたウバシとジャナの背後に、いつの間にか、苦虫を噛み潰した様な顔をしたビスカスが立っておりました。
「今日は、結婚式ですぜー?仕事忘れて下せえよ!」
ビスカスは二人を仕事に呼んだ張本人で有ることはしゃあしゃあと棚に上げ、矛盾した事を言いました。