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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第2章 その弟子、現る
「……以前のお前なら話を俺に持ち込むまでも無く、そんなチビは追い返せ!とか言って、洟も引っかけなかったろ」
「それは……まあ……若気の至りという奴で……」
師範のからかいを真面目に受け取って、弟子は顔を赤らめました。
「……それは、さておいてですね。とにかく、その少年が」
「ん?」
「不思議と、強いのです。何故かは分からないのですが、今の所誰も勝てておりません」
「……ほう」
ウバシは軽く目を眇めました。
もしかすると、入門の条件を変えて以来初めての、異色の応募者かもしれません。
「よし。見に行こう」
「宜しいのですか?」
「他の者ならともかく、お前ですら何故だか分からぬ様な、不思議な手合わなのせだろう?俺も、是非見てみたいからな」
さり気なく誉められた弟子は、頬をますます紅潮させて、無言で頭を下げました。
そして二人は審査の行われている闘技場に向かって、急ぎ歩いて行ったのでした。