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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する
「こんなものかしらね……」
しばらくしてローゼルはジャナの頬を、ちょん、と指で優しくつつきました。
「ジャナも、触ってみて?」
「え?……わあ!!」
ローゼルに言われ、自分の頬を触ってみたジャナは、目を丸くしました。
毎日顔を洗う時や修行の際に汗を拭うときに触れる感触と、全く違っていたからです。
「すごいです……ふわふわで、すべすべで、もちもちしてます……!!」
「ふふ……ジャナはまだ若いし、お肌がきめ細かいから、少し手をかけてあげるとすぐ綺麗になるわね」
「ありがとうございます、ねえしゃまっ……」
ジャナは嬉しさのあまり舌足らずになりかけながら、赤くなった頬を両手で包む様にしてはにかみました。
「では、もう横になりましょうか。疲れただろうし、ごろごろしながら話すのも、楽しいものよ」
「はい、ロゼ姉様っ」
ウバシとジャナが寝ていた時は離して壁にくっつけてあった寝台は、夕食の間に移動され、手を伸ばせばお互いに触れる程に近付けてありました。
その寝台に向かい合う様に寝転がり、二人は微笑み合いました。
「……ジャナ?」
「はい……」
「今日は、楽しめた?」
「はいっ!!」
ジャナは上掛けを抱え込んでぎゅうっと抱いて、熱の籠もった声で答えました。
「夢みたいでしたっ……ドレスも、ダンスも、ご馳走も……今姉様とこうやってお喋りしてることも、とっても素敵で、楽しいですっ!」
「そう……良かった……」
にこにこしているジャナを見て微笑んだローゼルの心に、ふっと心配がよぎりました。