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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する
「……女の子として生活出来ないのは、不自由では無い?」
「いいえ!」
驚くほど即座に、今日は楽しかったかと聞いたときと同じくらいの、強い答えが返って参りました。
「お式にお招き頂いて、素敵な時間を過ごさせて頂いたことは、本当に楽しかったし、嬉しかったし…心から、感謝しています。でも私、今は、女の子として過ごすより、技や療術の研究をする方が、もっとやりたい事なんです」
気を悪くしていないかとでも、思ったのでしょうか。
ジャナはそこで言葉を切って、おずおずとローゼルの顔を見ました。ローゼルが微笑んで頷くと、安心した様に言葉が続けられました。
「……だって、そのために師範さまに無理にお願いして、修行させて頂いてるんですから……一瞬だって、無駄に出来ません。今日のダンスでも、師範さまは本当に素晴らしい使い手なんだって、改めて実感しました」
「そう……」
ローゼルは手を伸ばして、ジャナの手を取りました。
「そうよね。今は、修行の身ですものね。女の子らしくするどころでは、無いわよね。……だけど、いつか女の子に戻る時には、ジャナをもっと綺麗にする為のいろんな物を、私に贈らせて頂戴ね」
「ロゼ姉様……」
ジャナはローゼルの手を取って、手の甲にそっと口づけました。
「ありがとうございます!……本当の妹でもないのに、こんなに気にかけて下さって……お姉様は女神様みたいに綺麗なだけじゃなくって、女神様みたいに、ご親切な方です……!」
「私、ジャナの事は、本当の妹だと思っていてよ?」
ローゼルはジャナの手を、優しく握り返しました。