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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する
「楽しかった?ジャナ」
「はい!ロゼ姉様のお祝いができて、嬉しかったです!たくさんお話しできたのも、楽しかったですし……連れて来て頂いて、ありがとうございました」
「良かったわ。帰ったらまた修行だからね」
「それも、嬉しいです。体が、なまってしまいそうだったので……望むところです」
ウバシはまたぼさぼさの髪に簡素な服に戻ってしまったジャナを見て、薄く微笑みました。荷物が少し増えているので、もしかするとローゼルにドレスを貰ったのかもしれません。
「師範さま?」
「なあに、ジャナ」
「私、今回こちらに連れて来て頂いたことで、自分にしか出来ない技を思い付いたのです」
「あら!なあに?ダンス?」
ダンスの応用的な軽業かしらと思いながら、ウバシは軽く聞きました。
「女装です。」
「……は?」
すっかり忘れたのかと思っていたら、またもや出て来た「女装」という単語に、ウバシは口が開きっぱなしになりました。
「私、今回、可愛いとか綺麗とか、とても、褒められました」
「ええ、そうだったわね?」
「ですので、女装でどこかに潜入が出来るのではないかと思うのです。」
「…………ちょっと……待って……?」
ジャナの言っている事が、理解出来ません。ウバシは頭を抱えました。
「アナタ、ほんとは、ほんとの女の子よね?」
「はい。」
「修行のために、男の子の振りをしてるのよね?」
「ええ」
「……で?仕事で、女装して、潜入するの……?」
「はい。」
ジャナが余りにもけろりと答えを返して来るので、ウバシの頭は益々混乱しました。