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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する

「それは、ちょっと……難しいんじゃないかしら……?」
「大丈夫です。先達に相談して、賛成して頂きました」
「先達ぅ?!」

 驚くウバシに、ジャナはこっくり頷きました。

「はい。私はその件について、今朝ビスカスさんに相談しました」
「ビスカスぅう?!」
「はい。ビスカスさんはもしかして、女装されたことが有るのではないかと思いまして」
「うっ」

 ウバシは、絶句しました。ジャナの読みは当たっていたからです。
 ビスカスは、顔はともかく姿は小柄なので、女と言ってもおかしくありません。器用なので、女の仕草を真似て、それらしく見せる事も出来ました。相手の油断を誘うのに、ビスカスの女装を何度か利用した事が有ったのです。

「ビスカスさんは『おー、そりゃ良いや!これからは女装のジャナはジャナっ娘で、男装のジャナはジャナ坊で、普通のジャナはジャナって訳だな!!』と、大賛成して下さいました」
「それ、ほんとに、大賛成なの……?」

 それは賛成というのではなく、もしかして、面白がっているだけなのでは無いのでしょうか。

「……あのね?」
「はい?」
「ビスカスは、男よ?小柄なのを利用して女の振りして仕事したりはしたけれど、アナタは元々女でしょ?女装したら単に『元通り』って事になるんじゃないの?」
「だから良いのではないかと思うのです、師範さま」

 ジャナは腕を組み、うんうんと頷きました。
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