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プロポーズ体験売り出します
第7章 目的達成につき販売終了
言い終えた時、かすかに聞こえた。霞のような笑い声が。
ほんの一瞬のことだけど、確かに俺の耳には聞こえた。
まるでしてやったり、とほくそ笑むような息遣い。
ハッとして目を合わせるとまり恵ちゃんはすぐに目を伏せた。
不思議な空気が流れている気がした。
「あの・・」
俺は思わずまり恵ちゃんをガン見してしまった。
ただ目には全くと言っていいほど力が入っていないのが自分でもわかる。
まり恵ちゃんは俺の視線を受け止めて、ゆっくりと呼吸してから口を開いた。
「それで、水神さんはどうしてた?」
うろ覚えの彼女の言葉を伝えると、
「つまりは社長と別れるってことね」
まり恵ちゃんは少し顎を上げた。
「そういう事にするそうです」
答えて、そこで初めて疑問が浮かんだ。
いったい何が聞きたかったんだ?と。
プロポーズ体験の失敗の原因こそが社内で必要な報告じゃないのか。
水神さんの個人的感情は、事業部長にとってそんなに重要な事なのか?
「中野さん、聞いてもいいですか?」
勢いあまってそう訊ねてみたものの、なにをどう聞けばいいのか
頭の中では何のまとまりもついていなかった。
「午後からミーティングするから、その時に菱沼君の疑問が解決されると思うわ」
黙り込んだままの俺を残してまり恵ちゃんはオフィスを出て行った。
ほんの一瞬のことだけど、確かに俺の耳には聞こえた。
まるでしてやったり、とほくそ笑むような息遣い。
ハッとして目を合わせるとまり恵ちゃんはすぐに目を伏せた。
不思議な空気が流れている気がした。
「あの・・」
俺は思わずまり恵ちゃんをガン見してしまった。
ただ目には全くと言っていいほど力が入っていないのが自分でもわかる。
まり恵ちゃんは俺の視線を受け止めて、ゆっくりと呼吸してから口を開いた。
「それで、水神さんはどうしてた?」
うろ覚えの彼女の言葉を伝えると、
「つまりは社長と別れるってことね」
まり恵ちゃんは少し顎を上げた。
「そういう事にするそうです」
答えて、そこで初めて疑問が浮かんだ。
いったい何が聞きたかったんだ?と。
プロポーズ体験の失敗の原因こそが社内で必要な報告じゃないのか。
水神さんの個人的感情は、事業部長にとってそんなに重要な事なのか?
「中野さん、聞いてもいいですか?」
勢いあまってそう訊ねてみたものの、なにをどう聞けばいいのか
頭の中では何のまとまりもついていなかった。
「午後からミーティングするから、その時に菱沼君の疑問が解決されると思うわ」
黙り込んだままの俺を残してまり恵ちゃんはオフィスを出て行った。