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プロポーズ体験売り出します
第2章 二人だけのオフィス
まり恵ちゃんの横顔は嬉しそうに輝いていた。
そりゃそうだよな、自分の発案が形になろうとしてるんだから。
でも・・?と俺は首を傾げた。
この人一応総務の部長、なんだよな?掛け持ちってことか?
俺は窓の外に微笑みかけているまり恵ちゃんの頭越しに声をかけた。

「中野さんって、総務部長ですよね。ここにいなくていいんですか?
 まあ、すぐ目の前で近いっちゃあ近いけど」

少し近づきすぎたのか、俺を振り返ったまり恵ちゃんはその距離の近さに
恥ずかしそうに身を固めた。

「行ったり来たりになるけど、総務部にはスタッフがそろっているし
 企画ほど忙しくないし。だから菱沼君が向こうのオフィスで一人になることも
 多いと思うわ。でもキミ、寂しがり屋ってタイプじゃなさそうだものね」

うふっと鼻に皺を寄せて笑うまり恵ちゃんの顔、よく見るとかわいい。

「じゃあ挨拶回りして、新しいオフィスに行きましょう」

上司の後に続いて総務部の面々に挨拶をする。
女性が多いからか、さざ波みたいな歓声があちこちから沸き起こる。
身長180センチが背を丸めて頭を下げると、
いやん背高いぃと判り切った事をあらためて口にする女子たちに、
しっかりとした愛想笑いを浮かべる。
よろしくお願いしますと何度も頭を下げていると、
「こっちのオフィスにも顔出してね」とあちこちで声をかけられた。
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