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第2章 二人だけのオフィス



裏通りは、その名の通り表の真逆だ。
人通りはない。でもそれは今の時間、午前中だけだ、きっと。

通りの真ん中で右左を遠くまで眺めてみる。
ぽつりぽつりだけど、いろんなお店がある。
俺たちのオフィスの入るこのビルの1階にある洋服屋、一件挟んで隣にはカフェ。
その隣には、バー。逆隣りにはスポーティーなリュックがぶら下がる店、
少し離れた斜め向かいの一軒家には革製品の店がある。
でも朝の10時に人けを感じるのはカフェくらいで、
あとは開店時間がもう少し遅いのだろう。
まあ、人けは関係ない仕事だ。騒々しくなさそうで、それがありがたいと思った。

階段を上がる時、ガラス越しに服屋の店員と目が合った。
まり恵ちゃんと同じくらいの年頃、30そこそこって感じのショートカットの女。
切れ長の目がなんとも新鮮で、みぞおちを突かれた感じ。
今どきはお目めパッチリ、整形だってお構いなしの女があふれかえっている中、
きりりとした目元にはそそられる。
小さく頭を下げた俺に、彼女は手を振って応えてくれた。
その様子を見ていたのか、まり恵ちゃんがうふふと笑った。
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