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プロポーズ体験売り出します
第4章 一人目のお客様
それってただの強がりか妥協じゃねえのかよ。
これが俺の率直な感想だ。
相手の男は10歳も年下なら、きっと彼女は物分かりのいい
大人の女を演じているはずだ。
泣いたりわめいたり我が儘言って困らせてやればいいのに、
多分そんなことしなさそうだ、この人は。
大人になると、年齢を重ねるとそんなにも自分に蓋をして生きなきゃならないのかって
想像すると、ちょっと暗い気分になる。
まり恵ちゃんはどう思っているんだろうと横顔を盗み見てみる。
すると見えるはずのない答えを見つめるかのような瞳で、
コーヒーカップを揺する芦田弘恵の指先を見ていた。
その視線に気が付いたのか、芦田弘恵はカップを口に持っていき、
きっと冷めているであろうコーヒーを飲み干してにっこりと笑った。