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プロポーズ体験売り出します
第4章 一人目のお客様
「弘恵さんは人生の先輩だけあって俺という人間がどんな人間かお見通しなんだよね。
 人生は自分のためにある。自分の責任はとれるけど 
 他人を巻き込んでの責任までとれるか正直わからない。
 だから結婚っていうものを考えないのかもしれないけど・・・
 でもそれと弘恵さんと一緒にいるっていう事は俺にとっては別物なんだよ、きっと。
 こうして何年も一緒にいられるのは弘恵さんだからだと思うんだ。だから・・・
 ずっと俺のそばにいてください。心と心を結ばせてください。
 ずっとずっと一緒にいるから、弘恵さんが天国に逝く時にちゃんと俺が見送って、
 それから俺が逝くから」


最後の一言を聞いた時、芦田弘恵は三日月に歪めた瞳から大粒の涙を落した。
半分笑いながら、半分泣きながら、大きく何度も肯ていた。

何度も考え直した。
中年女性にとってはあまりにリアルなセリフで一歩間違えば怒りを買いそうだとも
思ったけど、生涯を共にしたいと願うのであれば人生の幕を下ろす時の事は
重要だし確固たる決意の表れだと俺だったら思うと考えたんだ。
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