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プロポーズ体験売り出します
第5章 二人目のお客様
まだ対話するのは今日が二度目。
だけど過剰に気を遣うことなく会話はスムーズに流れる。
まるで誰かに紹介されたか何かの拍子にデートすることになった相手、
みたいなプライベート感に包まれて、これが仕事だということを忘れそうになる。

「なんかほんとのデートみたいだしさ。絹田さんは俺にとってはクライアントなんだけど
 その枠を取っ払ってもいいんじゃねーか?って思うほど自然体になれるんだよね。
 結構モテるんじゃないの?っていうかさ、実は彼氏いるんじゃないの?」

オーダーもそっちのけで彼女への興味が膨れ上がる。
実はっていう出だしを使ってしまったけど、商談の時に恋人の有無は
特に聞かなかったのを今思い出した。案の定、彩加はツッコミを入れてきた。

「彼氏いるかどうかなんて、聞かれなかったと記憶しておりますが?
 それより先に注文しようよ。すいませーん!」

答えを後回しにして彩加は店員に手を振る。
それぞれのパンケーキと飲み物を注文してから彩加は一言で答えた。

「いないよ」

「ふうん・・なんで?」
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