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プロポーズ体験売り出します
第5章 二人目のお客様
今回も成功した。
そう確信した俺は肩の力を抜いてありがとうございましたと
商品購入のお礼を申し上げると、彩加も緊張をといて大きく体を伸ばしてから
こちらこそありがとうと頭を下げた。

「いい思い出ができた。これで思い残すことなく残りの人生を過ごせるよ」

えっ?と俺は声にならない声をあげた。

・・残りの人生?残りの人生ってなんだよ?・・

「意味が・・分かんないんだけど・・?」

そういうのが精いっぱいだった。
上り切ったゴンドラは、徐々に下がっていく。
まるで俺の気持ちに連動するみたいに。

「余命宣告されたんだ、私。あと1年くらいだって。
 まだ26なのにさ。先がないんだって。だからさ、残りの時間無駄にしないように
 やれることやっておこうって思って、それで申し込んだんだ。
 やっぱ結婚ってしてみたいじゃん。プロポーズだってされてみたいじゃん。
 だけど私には叶わないみたいだから、嘘でもいいから気分味わいたくて」
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