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プロポーズ体験売り出します
第5章 二人目のお客様
絹田彩加がこれまで見せてきたどこか冷めた笑顔とは違い、
角のとれた笑顔が心にしみる。
プロポーズ体験の理由が余命宣告されたから、なんて誰が想像できるんだよ。
あの時。彩加とオフィスで商談した時、明日の事はわからない的な発言に対して
たしかになと思ったことを思い出す。
でもそれが本当にそうであったなんて、誰だって思いやしない。
いくら理由なんて商品購入に関係ないとはいえ、
知っていたら俺はちゃんと仕事ができただろうか。
たぶん・・できなかったんじゃないか・・・
言葉が見つからない。
黙ったまま彩加の顔と、その背後に広がる景色の変化を見ているしかできずにいた。
次第に地面が近くなってくる。
係員の顔はもうはっきりと見える。
ガタンと音がして扉が開けられ、彩加は素早く降りたのに対して
俺はぎこちない動きでしか体を動かせず、係員に急かされた。
そんな俺の手を彩加が引っ張る。
階段を降りるとウッドデッキのテーブルを指して、
「ちょっと座ろうよ」と一番水辺に近い場所を選んで座った。
角のとれた笑顔が心にしみる。
プロポーズ体験の理由が余命宣告されたから、なんて誰が想像できるんだよ。
あの時。彩加とオフィスで商談した時、明日の事はわからない的な発言に対して
たしかになと思ったことを思い出す。
でもそれが本当にそうであったなんて、誰だって思いやしない。
いくら理由なんて商品購入に関係ないとはいえ、
知っていたら俺はちゃんと仕事ができただろうか。
たぶん・・できなかったんじゃないか・・・
言葉が見つからない。
黙ったまま彩加の顔と、その背後に広がる景色の変化を見ているしかできずにいた。
次第に地面が近くなってくる。
係員の顔はもうはっきりと見える。
ガタンと音がして扉が開けられ、彩加は素早く降りたのに対して
俺はぎこちない動きでしか体を動かせず、係員に急かされた。
そんな俺の手を彩加が引っ張る。
階段を降りるとウッドデッキのテーブルを指して、
「ちょっと座ろうよ」と一番水辺に近い場所を選んで座った。