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プロポーズ体験売り出します
第5章 二人目のお客様
沈黙の間に聞こえるのはウミネコの鳴き声とジェットコースターからの悲鳴。
その中からわずかに聞き取ったのは彩加の溜息だ。

「正直ショックだよ。これが運命なんだなんて悟りは開けないよ。
 だからって泣いてばかりいたってなんも解決しないし。
 もちろん治療はしているけど、元気になったらなんて先延ばしにしてると
 出来ないまま終わっちゃうかもしれないからね」

落ち着き払った横顔。覚悟を決めたような横顔。
それを見てたら急に俺の感情が暴走した。

「命の期限なんて誰が決めたんだよ?」

え?と彩加の驚いた顔が印象的だった。

「医者が何て言ったか知らないけど、命って予測通りに終わるのか?
 あと3日ですって言ったら3日後にちゃんと終わるのか?そんなわけないだろ?
 1年だって言われたからって1年後って決まってるわけじゃないんだからさ、
 生きたいだけ生きりゃいいんだよ。人間の一生なんてさ、
 わかんない謎だらけだと思わないか?風邪一つひかない人が交通事故にあって死んだり
 病気だって言われても元気にしている人だっている。
 明日の事は誰にもわからねえ。だからやりたいことをやっておく、
 それでいいじゃないか。
 人生の残り時間が少ないからとかじゃなくってさ」
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