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プロポーズ体験売り出します
第6章 いよいよ、3番目のお客様
水神さんが帰ってすぐ、彼女へのプロポーズ演出の案を練ろうとパソコンに向かう。
だがどうしても気になってホームページを開いてみた。
「第一次予約終了」
水神さんからの予約受付の後すぐにいったん予約を止めると上司が宣言した。
なぜだ?まだたった3件だけじゃないか。
いくらスタッフが2名しかいないからって、パンクするほどの件数じゃない。
少しくらい、半年くらい待たせたっておかしいとは思わない。
それなのにまり恵ちゃんは3人受け付けた時点で即座にストップをかけた。
「そんなすぐに受付終了しちゃって大丈夫ですか?
どーしよっかなぁって迷っているうちに終了されちゃったよぉって人だって
いるかもしれないっすよ?」
部屋の中をうろうろしながら、時折窓の下の通りを見下ろしながら上司に意見してみた。
でもまり恵ちゃんはさすが上司だけあって俺の薄っぺらな抗議を、
蝋燭の火のごとく吹き消した。
「逆の考え方をしてごらんなさいよ。え~!もしかしてものすごい数の予約が
入っちゃったとか?予約が殺到しすぎてさばききれなくなったとか?
え~じゃあ次に予約始まったらすぐに申し込まなきゃ!・・って
解釈される可能性もあるんじゃない?」
ははぁなるほど・・さすが、これがキャリアってやつか、と何の疑いも持たずに
丸呑みした。仕事ができるってこういうことなんだ。
目の前の利益だけ追うのじゃダメなんだな。いわゆる駆け引きってやつも大切なんだ。
「納得です、勉強になります!」
あの時はなんも考えずに甲高い声を響かせ納得したけど・・・
ほんとうに理由はそれだけなんだろうか。