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プロポーズ体験売り出します
第6章 いよいよ、3番目のお客様


 まり恵ちゃんが本社オフィスから戻ってくるとすぐ、
水神さんの聞き取りの結果を聞かせてほしいと
俺のデスクに自分の椅子を持ってきて、俺の横にピタリとついて座った。

「やっぱ気になります?」

友達というほどではないだろうけど、仲良く近所づきあいしている女の色恋に
同じ女なら興味を持つのもよくわかる。

「そういう問題じゃないでしょ、仕事なんだもの、結果が気になるのは
 上司として当然ってだけよ。いいから早く!」

「あ、はい・・ではさっそく・・・水神様の聞き取りの結果を報告します」

気持ちを切り替えるように咳ばらいを一つ。
パソコンに打ち込まれたインタビュー内容を読み上げた。

「プロポーズ体験を希望する理由は・・不倫相手には望めないことだから、
 ということでした。指輪で繫ぎ止めておかれるより
 自分という女を望んでいるという証しの言葉が欲しいのだそうです。
 なので水神様の考えるセリフを面と向かって言ってもらえれば
 演出はどんなでもいいそうです。こちらにまるまる任せるとのことでした」
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