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プロポーズ体験売り出します
第6章 いよいよ、3番目のお客様

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 平日の昼間の表参道は、風に揺らされるケヤキの葉のざわめきを
のんびりと見上げられるくらいの落ち着きがある。
そぞろ歩くには気持ちの良い気温。
水神さんを待つ俺の心も余裕の穏やかさであふれていた。

「おまたせ」

歩道の花壇に腰かけて待っていたお相手がやって来た。
水神さんのクールさはいつも通りなんだけど、ファッションはいつもと違っていた。
彼女の働いている店の服はわりと個性的なデザインのものだけど、
今日はその辺にいるOLのようなコンサバファッションだ。
とろみのあるブラウスにワイドパンツ。
ざっくりと編んであるカーディガンを羽織っていて、
よく見るとまり恵ちゃんのファッションに近いものがある。

「へぇ、今日の水神さんのファッションもなかなか似合ってるじゃん。
 お店の服も似合ってるけどこっちも好きだな、俺は」

「あらあ、菱沼君こそ仕事の顔じゃないとその辺にいる
 ナンパ率100パーセントのオニイサンって感じでかっこいいわよ」

「え?それって誉め言葉じゃないでしょ」

立ち上がった俺は反射的に水神さんの背中に手を回した。
しっかりと恋人モードに切り替える。
まだ3度目のお芝居だけど結構飲み込みがいいっていうか、
役者としての才能が開花するんじゃね?なんて自惚れを笑いながら、
水神さんと肩を並べて歩き出した。
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