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プロポーズ体験売り出します
第6章 いよいよ、3番目のお客様
「水神さん・・」

彼女の腕を軽く引き俺の方に体を向けさせてから、覚悟を決めるように息を吐く。
さあ仕事の始まり、なのだが・・・

「あなたを必要な・・・男は他にいるよ、絶対。
 あの社長がどんなにイイ男なのか俺には解らねえ。でも
 良い人じゃないことは確かだろ?奥さんがいるのに愛人が、それも
 あなただけじゃないんでしょ?他にもいるんでしょ?
 そんな男にいつまでも引っ付いていたってどうにもならないじゃない。
 あなた自身もそれは解っているんでしょう?」

何言ってんだ俺、と大失態を反省しなければいけないところだろうが、
俺はこれが言いたかった。これが正しいと思った。

肩で息をするくらい興奮していた俺を、水神さんは驚きと冷静さの混じったような、
簡単に言えば無表情に近い顔で見つめていた。

「本来ならここで水神さんの依頼である言葉を言わなければいけないんでしょうけど
 俺には今日の商売はできない、申し訳ない。料金はちゃんと返金しますから」
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