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プロポーズ体験売り出します
第6章 いよいよ、3番目のお客様
「なにかって?」

「う~ん、なんていうか、可能性なのかしら、自分自身の。
 それにしてもすごい賭けだなって、ちょっと心配になっちゃった」

そう語る水神さんのほうがその場では冷静だったのかもしれない。
無責任に妄想を口にしただけなのに、それを真に受けるなんてと、
彼女が思ったかどうかはわからないが、あまりに突飛で現実的ではないと
感じる人の方がたぶん多いんじゃないかと俺も思う。

「でもね、そんな一生懸命な姿にケチつけるような事できないじゃない?
 実現したら買うわよって、言ったのよ」

飲み屋で語り合ったオンナの恋バナが、俺達二人だけの事業部の原点だったわけだ。

「でも・・水神さんは俺にぶち壊されちゃいましたね。ごめんなさい、
 せっかく夢の実現のためにプロポーズ体験を買ってくれたのに」

夢を夢で終わらせるはずが俺は無理やり現実の世界へ引きずり戻しちまった。
余計な正義感のせいで。
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