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蝶々と甘い蜜。
第8章 【三島編】愛する人
「恭弥、結婚はまだなのか。」


まだ24歳だというのに、会う人会う人「結婚」という言葉が必ず出てくる。29歳の女性に聞くのは億劫だという人も、男ならなぜか大丈夫だろうと思うのか、ものすごく聞かれるようになった。


「まだ気持ちに余裕がないので。」


気持ちに余裕がないのは本当だった。一晩限りのプロの相手にしてもらっているから下半身の問題はない。ただ、結婚となると、どういう相手がいいのかわからなかった。


「身を固めてほしいという気持ちもあるが、お前の身体のことも俺は心配なんだ。母さんを亡くしてから、前立腺がんになるとは……」


俺の家系は男性は前立腺がんに必ずなる。そして親父も……そう長くはない。


「せめて俺みたいに子孫を残して、手遅れのないように検査もきちんと受けて…」


「分かっているよ。もう子供の時から聞かされているんだから。」


射精をしたからといって必ずしも前立腺がんにならないわけではない。俺はただの家系の問題だと思うが、なぜかパートナーを亡くしてから射精をしなくなるとうちの家系は前立腺がんのなるのだ。


自分でも勃起するまで時間がすごくかかるのが、ちょっと気になっていた。


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