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蝶々と甘い蜜。
第8章 【三島編】愛する人
渡されたのは一輪の青いバラだった。


『これは……』


『もっと……もっと青いバラにしたかったけどっ……ッ』


『母さん、もう横になって。』


『恭弥、あなたの幸せを願っているから……』


それから一月後、母は亡くなった。
3ヶ月もつと思っていた俺は、心にポッカリと穴があいてしまったのはいうまでもない。


母は亡くなった時も綺麗な顔をしていた。
真っ赤なルージュを身につけて。


母がつけていたルージュを鏡台になおしていたら、引き出しに大きな封筒が入っていた。その封筒には写真が数枚と手紙が同封されている。母親の若かりし頃と一緒に写っている男性は父親ではない。写真は幼少期から高校生ぐらいまでの写真だけだった。


手紙をゆっくりと開くと『大介へ』と母親の字で書かれていた。ふと近くに人がいないか確認してもう一度手紙に目を落とした。この手紙は、母親の秘密なのだろうと悟った。




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