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蝶々と甘い蜜。
第8章 【三島編】愛する人
「ずっと俺のそばにいてほしい。」


若かった私は、あのころは自分のことを「俺」と言っていた。今では自分のことを「私」という。それだけ月日が流れてしまったのだろう。その流れゆく月日を私はどうやって過ごしてきたのだろうか。


「……どうして、私のところに帰ってきたんだ?」


「……あなたはどうして私を追いかけなかったの?三島グループの力を使えば私なんて一日…ううん、半日で見つかったはずだけど。」


「君が私に言ったんじゃないか。私を追いかけたら命を絶つと……。」


「そうね…そういったわね。」


「あの日、結婚式のあと、君は着替えると言って私の手を離したけど、あの時離さなければよかったと今でも後悔している。」


「ふふ…やっぱり人って都合がいいように記憶をすり替えるものね。」


「え…?」


「ううん、何でもない。それより、あなたはまだ指輪をしているのね。」


「……君のことをずっと待っていたんだ。」


「……ずっと帰ってこなかった私を、あなたは許すの?」


「許すも何も……」


「あなた、私を抱けるの?」


「え……?」
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