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蝶々と甘い蜜。
第10章 切ない想い
「今まで三島に貰ってきたお金です。全額あります。」


「これをどうするんですか?」


「三島に返してほしいんです。」


「受け取らないと思いますが……」


「そしたら甲斐さんが貰ってください。私はいりません。」


「……1円も使わなかったのですか?」


「使いたかったですよ。だって、お給料安いですから。でも……使ってしまったら、本当にお金の関係になってしまうから、怖くて使えなかったんです。」


「気持ちは分かりますが……」


「きっと三島さんは受け取らないでしょう。だけど、私には必要のないお金です。このお金をもらわなくても、私は三島に喜んで抱かれたと思います。」


「……本気で愛していると?」


「……三島さんはそうでなくても。」


「我々の前からいなくなるんですか?」


「……はい。でないと私、もうどんなことをするのか、自分でわからないんです。黒い自分が……自分が三島さんに、奥様に何をするか分からない。だけどせめて気持ちだけ、私の気持ちだけ伝えたいんです。」
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