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第10章 切ない想い

「行ってらっしゃい。気を付けて。」


「ありがとう、福田さん。」


「宮園さん！」


力強く、大きな声で福田に呼ばれて
顔をあげると優しく微笑んでいた。


「宮園さん達の関係は正直変な関係だよ。だけど、宮園さんの三島さんへの愛は本物だよ。」


「福田さん……っ……」


「周りの人にどんな風に思われても、俺は宮園さんのこと応援するから。俺が…幸せにしてあげれたらよかったんだけど、宮園さんの幸せは宮園さんが決めるものだから。」


「ありがとうっ……」


「結衣姉のことで相談とかあったら相談してほしい、と、友達として。」


「うん、ありがとう、嬉しいよっ……」


「じゃあ、気を付けて！」


福田に背中を押されて前に一歩足が出た。
こんな風に誰かに応援されるなんて夢にも思ってもなかったから
心の奥底が熱くなるのを感じた。


「行ってきます！」


ねぇ、三島さん。
私ね、本当はあなたのこと下の名前で呼びたかった。
だけど、下の名前で呼んだら奥様との区別がつかなくなりそうなのが怖くて
呼べなかったの。


あなたと太陽の下で色んなところへ行きたかった。
あなたと過ごしたあのマンションに家具とかおいて
ゆっくりと夜景を見たりご飯を食べてみたかった。


お金じゃなくて
あなたと過ごしたいこと
やりたいこといっぱいあるの。