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蝶々と甘い蜜。
第10章 切ない想い
「……お金のためよ。」
「違いますよね?」
「甲斐……私のこと何か勘違いしていない?あなたと連絡をとったり会ったりしていたのも別にあなたと連絡をとりたかったわけじゃない。あの人がどうしているか知りたかっただけ。」
「……本当にお金のためだったら、保険金のためにあなたは三島を殺めることができたはず。なのに、ハンドル操作を誤った三島をかばおうとして、自分のほうにハンドルを切ったそうじゃないですか。」
「それは……っ」
「怪我もしているじゃないですか。手当してもらったほうがいいですよ。あ、すいません、奥様の手当てをよろしくお願いいたします。」
通りかかった看護師さんに手当をお願いした甲斐とふと目があった。
聞いてはいけない会話を聞いた気がする…そう思ったら合った目を急いで逸らした。
「奥様、私はここで……」
「うん……ありがとう、甲斐。」
奥様後姿を見つめる甲斐の姿は、いつもスマートに冷静に仕事をしている甲斐ではなく、好きな人を心配している男性のように見えた。