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蝶々と甘い蜜。
第10章 切ない想い
「お待たせいたしました。上の階になりますのでエレベーターで行きましょう。」


「甲斐さん……」


「はい。」


「すいません、何言いたいか忘れてしまいました。」


甲斐さんはきっと奥様のことが好きで
奥様も本当は三島のことが好きなんだろう。
それだと色々と辻褄が合うことがあるけれど
奥様がどうしてお金のためと言っているかだけが引っかかった。


「……あなたが思っているとおりだと思います。」


「え?」


言葉にはしていないのに
自分が思っていることを読まれて一瞬ドキッとした。
あの三島のそばにずっとついている人だから
私の心を読むのは簡単なことなんだろう。


「あのっ……」


いきなり甲斐に口を手で塞がれて言葉が発せなくなったと同時に
三島の病室の廊下から声が聞こえてきた。

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