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蝶々と甘い蜜。
第10章 切ない想い
「結衣さん、久しぶりに見たわ。まだ生きていらしたのね。」
「結婚式以来だから、離婚でもしているのかと思っていたわ。」


「あの子娼婦していたんでしょう?」
「学歴だって高卒、なんでそんな子がこの三島グループに……」


甲高い声に、高そうな服やジュエリー、遠くにいても香ってくる香水の匂い、そして三島の奥様を罵倒しているマダム達の言葉が、どんどん気持ち悪くなってくる。


「あの父親、本当しつこかったわね。」
「会社にも来て、親族の家にもお金をせびりにきていたわよね。」
「本当育ちが悪い子って困るわ。」


「父がご迷惑をおかけしたこと、大変申し訳ございませんでした。」


治療が終わったのか、手と頭に包帯をつけている奥様が2人のマダムの前に凛として立っていた。2人のマダムだって気品がある恰好はしているけど、奥様の場合は、佇まいから自信に溢れていて、オーラが凄かった。


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