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蝶々と甘い蜜。
第10章 切ない想い
「私のこと…覚えてないんですか?結衣です。」


「結衣……?結衣は私の妻の名前だが……」


そうだよ、あなたの妻の名前だよ。
あなたが何度も抱きながら読んでいた名前。
時に憎く、時に愛おしいと思った名前。









「カラダだけの関係よ。」


後ろを振り返ると甲斐と奥様が立っていた。甲斐は私と目が合った瞬間軽く会釈をしてきた。


「あなたがこの部屋に来そうな予感がしたから……やっぱり来ていたのね。」


「君はこちらの女性を知っているのか?」


目の前で三島が観ているのは奥様の結衣さんの方だ。
私は隣に座っているのに、私の存在なんてスルーだ。
それをこんな風に目の前で見るなんて……胸が痛くなってきた。


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