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蝶々と甘い蜜。
第2章 契約
「まさか、こんなに早く、また、会えるとは思っていなかったよ。」


彼はまだ、あの薄暗い月明かりの部屋でソファに座って寛いでいた。
テーブルにはあの青いバラ。
彼のところに来たのは、この青いバラのせいだ。


そう思えば……そう思ったら、気が楽になる。
だって、普通おかしいよね?
愛してくれない男に自分の身体を捧げるなんて――


「あの――」


“パリンッ――”


薄暗さにまだ目が慣れていないというのもあって
テーブルにぶつかってしまい
さっきまで私が飲んでいた水のコップを落としてしまった。


「すみません……ッ――」


コップの破片を拾おうとして指先をガラスで切ってしまい
血が指を伝って流れてくる。
それと同時に
受付でもらった胸元につけていた白いバラが
床に落ちてしまい
そのバラの上に血が落ちていく――
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