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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第16章 障害物狂想曲━ アフェッツオーソ ━
「珱月・・・すまない。」
彼女が〝許した〟のではない。男が奪ったのだ。そんなことに気が付くのにこんなにも時間がかかる。
本当に今までの自分は、なにをしてきたのか・・・。
「ジュリアスさん・・・っ。ジュリアスさんだけです・・・ッ」
彼女が懸命に訴えるその感情に自分が〝愚か〟だと気付かされる。彼女の涙を再び拭ってキスをする。
「っ、ジュリ、アス・・・・・・さん?」
「本当に悪かった。君に俺以外が触れたのかと思ったら止まらなかった。君がどんなに怖い思いをしたとか、吹っ飛んでた。
酷いことを・・・また、言ったな。俺の気持ちに答えるのがいっぱいいっぱいの君が〝許す〟訳がないのに・・・・・・」
「っ・・・
(それって、〝嫉妬〟って・・・・・・こと?)」
彼女の涙が止まって黒い濡れた瞳がジッと見てくる。