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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第18章  障害物狂想曲━ インセンシブルメンテ ━
  


「はいっ。」


 男に自分を殴らせておくのは、得策だったのだ。

 《 *

 上流階級の掟と習わしに冷たくあしらわれた。それでも彼に始まって芽生えてしまった気持ちは、なくなりは、しない。
 それでも異国で暴力を向けられて心が曇っても始まって芽生えてしまった気持ちを終わらせることなど出来ない。


 《 《 *


「珱月・・・入るぞ。」


 連絡を受けたとは言え、簡単に駆け付けられる訳ではない。それが王の親衛隊と言うものだ。
 王は、気にかけてくれ〝行っていい〟と言ったがそれに甘える訳には、いかない。
 ようやく帰り着き彼女の元を訪れたのは、約束をしていた日数以上にかかってしまった。


「ジュリアスさん、お帰りなさい。」


「珱月・・・・・・ッ」


 想像と違い彼女は、落ち着いて言葉を返してくれた。はやる気持ちを押し殺してゆっくりと近付いた。


  
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