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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第35章 邪心の潔白
その一言を切っ掛けに父は、荷造りをして母を連れて〝帰る〟と息巻いている。それだけならまだなんとかなったのだが〝一緒に帰るぞ〟と腕を引いて敷地の入り口の門の前まで連れられて来てしまっていた。
「お父さんっ、痛い・・・」
握ると言うよりは、掴んでいる状態なので手首に痛みが走る。
「いいから、来なさい。お前は、未成年なんだ。たとえ異国のお偉いさんでも身勝手は、許されない。」
「お父さんっ!ジュリアスさんに言えと言われたんじゃないの。私が〝彼の傍に居たい〟って本心から思っているのよ。」
父にハッキリと告げた。何度問われても答えは、同じだ。
「珱月・・・・・・」
「ごめんなさい・・・、判ってる。お父さんが私を心配してくれていること。でも、私の居場所は・・・ここなの。」